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労働基準法・就業規則Q&A その他

■その他
26 本人からの申し出により依願退職した労働者がいますが、本人が辞めてから在職中の不正事実がいくつか出てきました。どうやら金銭的不始末が露見するのを恐れて先手を打って辞めたと思われますが、既に支給した退職金を返還させても問題ありませんか。なお、就業規則では懲戒解雇の場合を除いて退職金を支給する定めになっています。
26 すでに退職した者を懲戒解雇とし、支払った退職金を返還させるのは困難と考えるべきでしょう。退職したということは、すでに労働契約も切れており、従業員としての地位もないわけですから、就業規則を適用して懲戒権を発動する余地はないからです。
また、退職金も賃金である以上、いったん労働者の手に渡ったものを返還させるには、計算誤りとか、労働者に不正受給の意図があった場合に限られます。

不正が露見していれば、確かに懲戒解雇となって退職金も支払わずに済んだかもしれませんが、現実には露見しなかったのですから、懲戒解雇以外は退職金を支払うとする就業規則にある規定を適用せざるを得ないわけです。

なお、労働者の不正行為によって直接企業が損害を受けたのであれば、その範囲で損害賠償請求を行うことはもとより可能です。


27 当社では、従業員の給料計算をコンピューターで管理していますが、経理の者がデータを間違えて入力したために給料に過不足が生じました。この給料の過不足について、次回の給料で清算しようと考えているのですが、問題はありませんか。
27 労基法第24条は、賃金の支払いに関する原則を掲げています。その原則は賃金が毎月確実に労働者本人の手に渡るように定めたもので、
①通貨払い
②直接払い
③全額払い
④毎月払い
⑤一定期日払い
の五つを指します

質問のケースでは、この五原則のうち③の全額払いの原則に抵触する恐れがあります。なぜなら、全額払いの原則とは、労働者が受け取るべき賃金について、その全額を支払わなければならないというものだからです。

したがって、計算ミスにより、不足して支払った先月分の賃金については、給料日の時点で既に全額払いの原則に違反していることになりますので、次回の給料で精算するのではなく、すぐに支払うことが必要です。一方、労使協定がないのに、払い過ぎた賃金を次回の給料から差し引いて支払う方法についても厳密に言えば、全額払いの原則に違反しているといえます。

また、同条第1項ただし書きでは、全額払いの原則の例外として、法令に別段の定めがある場合又は賃金控除に関する労使協定がある場合に限り、賃金の一部を控除して支払うことができるとされています。したがって、賃金控除に関する協定を結んでおけば、払い過ぎた賃金を後になって差し引くことも問題ありません。

では、労使協定がなければ、過払い賃金を翌月の賃金で相殺出来ないかというとそうともいえません。通達では、前の月に払い過ぎた分を翌月に差し引いて精算する程度(5日分)は、労働者の生活を害する恐れはないと考えられることから、賃金計算上の取り扱いとして、労使協定が無くても労基法違反にはならない(昭23.9.14 基発第1357号)としているからです。


28 無断欠勤を続け、再三の出勤の督促にも応じない者がいるので30日分の解雇予告手当を支払い、即時解雇しようと考えていますが、解雇予告手当についても労働者本人に直接支払わなければならないのでしようか。また、解雇予告手当の受け取りを拒否した場合、どうすればいいのでしようか。
28 即日解雇する場合には、行政解釈では、解雇の申し渡しと同時に解雇予告手当を支払わなければならないとされています(昭23.3.17 基発第嚢64号)が、解雇予告手当は賃金には該当しないとされています(昭23.8.18 基収第2520号)

したがって、解雇予告手当については労基法第24条による賃金の直接払い、通貨払いの原則は適用されません。ただし、前掲行政解釈では、解雇予告手当は賃金には該当しないが、その支払いについては、法第24条に準じて通貨で直接支払うよう指導すべきことが示されていますので、通貨で、直接労働者本人に支払う必要があるといえます。

次に、解雇予告手当の受け取りを労働者に拒否された場合、どういう方法をとれば解雇通告日に解雇予告手当を支払ったとみなされるかですが、行政解釈において、労働者が受け取り得る状態に置かれていることを要し、具体的には次のようなことが必要であるとされています(昭63.3.14 基発第150号)。
①郵送などの手段により労働者あてに発送を行い、この解雇予告手当が労働者の生活の本拠地に到達したとき。なお、この場合、直接労働者本人が受領したか
否か、また、労働者の存否には関係がない。
②労働者に解雇予告手当を支払う旨通知した場合については、その支払日を指定し、その日に本人不参のときはその指定日、また、支払日を指定しないで本人不参のときは労働者の通常出頭し得る日。なお、解雇の申し渡しをなすと同時に解雇予告手当を提供し当該労働者が解雇予告手当の受領を拒んだ場合は、これを法務局に供託できることはいうまでもない。

以上のいずれかの手続きを行えば、解雇通知日に解雇予告手当を支払ったとみなされることになります。

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