みなし労働時間制で、かつ歩合給の雇用契約は難しい

2013年11月29日

こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。

 

今回は、商工ローン会社での事例をご紹介します。この会社B社は、当時10人いた営業社員の基本給を減額し、顧客の件数や貸付残高に応じた手当を歩合給という形で導入することにしました。

その結果として、Aらの受領した賃金は減少したことにより、Aらはこれを『一方的減額』として無効を主張し、差額支給を求めたものです。

 

労働基準法の例外規定

労働基準法では、賃金の算定方法に当たっては、労働時間を計り、1ヶ月以内ごとに締めてその全額を支払うよう使用者に義務付けています。

そのように考えると、『歩合給』が労働時間分の全額を支払う義務に反しないのかという疑問が浮かんできます。これに対し、労基法第38条の2は、この特例として次のように定めています。

 

○労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。(事業場外みなし)

 

つまり、何時間働こうと『労働時間を算定し難い』ときに限って時間管理や残業代は要らないといっているのです。今回はこの例外規定の適用があるか否かも争われましたので、論点としては次の2つとなります。

 

1.B社の営業社員は労基法第38の2でいう『労働時間を算定し難い』に該当するか?

2.基本給の保証を外し、減額の可能性(もちろん増額も)を含む歩合給とすることは、必ずしも不利益か?

 

では、各々の主張を見てみましょう。

 

Aの主張

会社は、営業社員には全員に会社所有の携帯電話を持たせている。

外での行動を会社に報告したときは、予め提出した予定表の当該欄を会社において抹消しており、しかも基本的には午後6時には帰社していた。

従って、労働時間が算定し難くはない。加えて基本給を減額の可能性がある歩合にすることは許されない。

 

B社の主張

朝礼と終業の掃除までの間においての時間管理は社員が自主的に行っている。

訪問先は社員が裁量をもって決定しているし、会社が指示することもチェックすることもない。

直行直帰も行われているので、労働時間を算定し難い。加えて、歩合給については顧客手当、営業手当など新設しており、代替措置を採っている。

 

結果

1.事業場外みなし労働時間制の適用についてはAの主張を認める。

2.歩合給の導入についてはB社の主張を認める。

 

要点

【事業場外みなしについて】

本来使用者は労働時間を把握しこれを算定する義務がある。労基法第38条の2の趣旨は、事業場外で労働する場合にはその特殊性からこのような義務を認めるのは困難を強いることになるからみなし規定としたものである。

B社は8時15分に朝礼が行われていたこと。

その際、社長などから営業についての報告や指示があること。

統一した様式でないが、行動予定表を前日又は当日朝までに提出させていたこと。

外勤中報告をしたときは、会社において当該欄に線を引くなどしてこれを抹消していたこと。

午後6時までに帰社させ、掃除を行い午後6時30分までは退社するよう指示していたことなどから、労働時間の算定は可能であり労基法第38条の2の適用を受けない。

 

【歩合給導入について】

その目的が営業社員を奮起させて実績向上を図ることであった。

新賃金体系の詳細を記載した書面を従業員に回覧させ、各自署名押印させ、これを従業員の閲覧可能な場所に掲示したこと。

営業社員10名のうち6名は賃金手取り額が以前より上回ったこと。

減額された従業員も特段の抗議等はなく、減額された賃金を受領し続けたこと等からすれば、歩合給制の導入には合理的理由があり直ちに不利益な賃金体系だとはいえない。(平14.7.19大阪地判)

 

昔は認められたかも?

やっぱり、企業が労働者を雇用する以上、労働時間管理をしない訳にはいきません。

賃金の計算方法をどのようにするかなどとは別次元で求められている根本的な義務であると考えられます。その昔、ポケットベル(ポケベル)がありました。昔はこれが鳴ったら即電話ボックスですよ。

事業場外みなしって、この時代のものです。

 

モバイル時代に通用するか?

モバイルPC、スマホで指示が飛ばそうと思えば簡単にでき、報告も即対応可。

一方で、電話ボックスを探すのも困難な現代、事業場外みなしなんて、もうほとんど認められることはないのではないかと、私は思っています。

 

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