こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
先日、ある顧問先様が、労働局から割増賃金の不払いについて指摘を受けました。
前回の顧問先様は、結局不払いはないということで落ち着きましたが、今回は私が給与計算をしていない顧問先様なので何とも言えません。
その顧問先様としては、その月の総枠で1年変形のカレンダーをハミ出ていないので、割増賃金は必要ないと考えているそうです。なるほど、感覚的には理解できます。
給与計算をしていると、労働基準法がそこまでこだわる必要がどれだけあるのかというくらいの些細な決めごとがあって、計算技術的に難しい面と、一般の社会通念に浸透していない面に疑問を感じることは多くあります。
週40時間労働だと年間何時間ですか? 3日間の週40時間は何時間ですか? 普通の給与担当者ではあまり考えないと思います。
もちろん、専門家は答えを持ってはいますが、だからといって説明はしてもビジネスの現場で理解されないことは経験していますし、また、それを緻密に順守することが非常に難しいことを知っています。
今回は、1年単位の変形労働時間制における振替休日で、週40時間を超える労働に対する割増賃金の支払いに関するものでした。結局、月の総労働時間はカレンダーを超えていません。
1年変形なのだから、結果として毎月平均で週40時間以内になれば良いではないか?
それも分からなくないです。
しかし、労働基準法的には、もともとの変形カレンダーで週40時間を超える週でなければ、超えてはいけないのです。そのため、振替休日をしたその週で割増が必要になることはあり得るのです。だから、頻繁に振休する会社は1年変形を採用する余地がないとされています。
しかも、今回はその週が何曜日から始まるのかで、40時間を超えるとも超えないともとれるケースでした。
局の担当者の方は、1週間は日曜日から始まるとされました。確かに、民法や普通の国民感情ではそうでしょう。
しかし、私は労働基準法で定めのないことであって、変形カレンダーの初日である曜日として考えているとしました。実際に変形カレンダーを作成する際には週の52時間上限などそうやってチェックしています。でも、就業規則などにそのほかの根拠はありません。
いずれにしても、その相違の結果は給与額で数百円です。
そのために何時間電話しただろうか・・・。