こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
背に腹は代えられない時でも、リストラは次のようなリスクがあります。
○ 労働基準監督署による行政指導
○ 従業員やその家族ともめる
○ 残る社員の士気が下がる
これらを回避するためにはどうしたらいいのでしょうか?
まず、そもそもリストラは、「整理解雇」と呼ばれ、あくまでも最終手段です。
ですから、その前にリストラを回避することを考えないといけません。
そのためには、
○ 賞与は支給せず、給料は下げない代わりに上げない
○ 残業をさせない
○ 新規採用をしない
○ 別会社への出向を検討
○ 労働時間を減らしてワークシェアリング
などのステップを踏む必要があります。
それでもダメなら
1.希望退職→ 2.退職勧奨→ 3.指名解雇 となるのです。
もちろん、それぞれにメリット、デメリットがあります。
1.【希望退職】
メリット: 法的に「もめる」リスクが低い
デメリット:優秀な社員が退職してしまう可能性も
2.【退職勧奨】
メリット: 残ってほしい社員の流出を防げる
デメリット:退職には社員の同意が必要
3.【指名解雇】
メリット: 特定の社員を強制的に解雇
デメリット:解雇の要件が厳しい
といえます。
しかし、会社はすぐに「3.指名解雇」をしたがります。なぜなら、「早く改善したいので、短期的に解決したい」と思っているからです。
しかし、指名解雇には次の「4つの要件」があります。
○ 整理解雇が避けられないほどの経営上の必要性があったこと
○ 役員報酬のカットや経費削減のほか、上記1.や2.を経るなど、指名解雇回避のためあらゆる努力をしたこと
○ 対象者を選択した方法(例:年齢、部署、地域)に合理性があること
○ 従業員への説明義務を十分果たしたこと
さらに、次のようなフォローも不可欠でしょう。
○ 再就職支援を実施する
○ 在職者に相談窓口を設置する
特に退職者への扱いを手厚くしないと、在職者の士気が下がります。
「いずれ、自分達も同じような道をたどるのか・・・。」と思わせてはいけません。
退職者へのケアは、在職者へのケアでもあると思うのです。
これらを感情的にきちんと実行することが重要と考えます。
リストラばかりは単純に「法律の要件をクリアしているからOK」とはいきません。
最終的には、人と人の気持ちの問題です。ここを間違えるとトラブルが増えてしまいます。
意外なところがトラブルのスタートになっていることが多いものです。
ですから単純に「来月から来なくていいよ」では、法的にも感情的にも受け入れられないでしょう。会社の状況、リストラの必要性、あなたがリストラされる理由などを冷静に、かつ、きちんと説明すべきなのです。
会社と社員のトラブルは、起きてしまった時点で会社の大きな傷口となります。
ある程度、トラブルになるパターンは決まっています。ですから、そのパターンを回避すべきなのです。