こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
従業員が私傷病のため一定期間欠勤が続く場合、会社は期間を定めて休職を発令し、その期間に治癒しない場合は退職とするといった内容の就業規則はよく見かけます。
骨折などのケガの場合は治癒したか否か明確なので問題ないのですが、原因がメンタルヘルスの不調などであった場合は問題となることがあります。
治癒しても再発する
私はメンタル不調とはどういう症状なのかよく理解してはいませんが、多くの場合で一旦職場復帰しても再発して再度休職に入ることがあるようです。
要は、治癒と再発を繰り返すことが多い病気なのだと思います。
就業規則に通算規程がない場合
そのため、単純なケガのように一旦治癒すれば元通りという訳にいかないため、例えば、次のような規程の場合は困ります。
第〇条 従業員が次の事由に該当する場合は休職とする。
(1)欠勤が〇〇日以上継続したとき
(2)以下省略・・・
2.休職期間は次の通りとする。
(1)前項第1号の場合 1年間
(2)以下省略・・・
例えば、欠勤が一定期間続き、休職事由に該当し、その後復職したがほどなくまた欠勤が続く場合、また休職を1年間も認めるのか?
また、欠勤が断続的に繰り返されており、いつまでも休職事由に該当しないようなこともあり得ます。
公務員の場合、一定期間までは給与まで保証されており、長年に渡り休職を繰り返す職員がいて問題となったこともありました。
民間企業に当てはめれば、実際に働いている従業員でその者の給与を賄っていることになり、ちょっと納得いかないという人も出てくる気がします。
休職規程は使用者(会社)の任意
そもそも休職規程とは、法律によって定めるよう義務付けられているものではありません。
使用者による解雇猶予措置とされており、定めるか否かは使用者次第といえます。
とすると、休職を命じるかどうかも使用者次第であって、治癒の見込みが全くないときまで休職させる必要はないとも考えられます。
規程にするのであればそのようなことも記載し、「休職を命じることがある」 などと使用者に裁量を持たせるといいでしょう。
そして、休職を繰り返すような場合に備えて休職期間を通算することも考えられます。
例えば、復職後〇ヶ月間以内に再び休職事由に該当する場合は直ちに休職させるとし、その場合の休職期間は前回の残日数を限度とするなど。
休職を繰り返す者の社会保険料負担は続く
古い就業規則は特に上記の通算規程がありません。
この場合、いつまでたってもまともに復職できず、給与の支給はないが社会保険料の負担は続くというパターンにもなり得ます。
社会保険料は、最低でも17日以上の給与支払基礎日数の月が3ケ月継続しないと改定になりません。
しかもそのような場合、定時改定においても従前の保険料で決定され、なかなか出勤実績に応じた保険料で決定されません。
ずーっと復職にも退職にも至らず、本人負担分の保険料すら徴収できず、会社の保険料負担は続くということもあり得ます。
そうなる前に就業規則を見直してみませんか?