労災→労災→痛風となった労働者を解雇できるか?

2013年11月14日

こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。

 

原則として労働基準法では『業務上負傷して休業中及び復帰後30日間』は解雇できないとしています。

では、労働災害によって負傷した労働者が、これが治る前に引き続き私傷病を患ったとき、いつまで解雇は制限されるのでしょうか。

また、傷病が治った(治癒という。)とは、どのような状態になることを示すのでしょうか。

 

例えばこんなケースです。

●トラック運転手が追突事故に遭い休職、軽作業を経て運転業務に復帰

    ↓

●作業中に捻挫し、再度休職し軽作業を経て運転業務に再復帰

    ↓

●再復帰直後、今度は痛風で入院・自宅療養

    ↓

●会社は組合と自宅療養を経ても運転業務に就くことができないときは退職してもらう旨の協定を締結

    ↓

●復帰することができず、会社は解雇通告をした

    ↓

●労働者はこれを不当として提訴

 

結果

労災事故での症状は固定しており、以降は労働基準法の解雇制限は適用されないというべきで、本件解雇が同規定に違反することはない。また、本件解雇が信義則違反とか解雇権濫用とかいうことはできない。

 

判断の要点

解雇制限の趣旨は、業務上の負傷によってその療養のための休業期間という再就職困難な時期において失職することで、労働者の生活を脅かされることのないよう、再就職の可能性が回復するまでの間、解雇を一般的に禁止して労働者を保護することにある。

症状固定となれば、再就職の困難さもそれ以上の改善の見込みは失われるから、症状固定時以降は、再就職可能性の回復を期待して解雇を一般的に禁止すべき理由はない。

対症療法が必要な場合もあるが、それは労働能力の低下として評価すれば足りる。業務上の負傷によって労働能力が低下し、再就職が困難になったからといって解雇を一般的に禁止すべき理由はない。(名古屋地判平元.7.28)

 

ポイント

労働者は『そもそも症状固定していない、仮に固定したとしても解雇権の濫用だ』と争っています。この事例では、診療記録などが証拠になってその固定時期を認定していますが、別の例では労働基準監督署が休業補償給付の打ち切りを行ったことが重要な判断基準となっています。

次に、労基法の解雇制限に違反しないとしても、解雇権濫用法理の問題が生じます。この事例では、リハビリ出勤などを認めて、さらに組合の同意を得ているなど会社側の努力により解雇権濫用ではないと判断されていますが、別の例では症状固定後の労働能力が従前の職務を通常通り行えるほど回復するのか、回復の見込みが確かでないときは、普通解雇は有効としています。

 

治癒(ちゆ)とは?

医療的な治癒には、治ったときの他『症状が固定し、これ以上治療の効果が期待できない状態』や『障害状態』になることを含んでいます。

一般的に休職・復職を認めるか否かで争うような場合に『治癒したか否か』といったりします。

この場合は少し意味が違っていて、医学的に病気やケガが治ったかどうかではなく、通常通りに仕事ができる状態か否かを指します。ですから、例えば復職させるかどうかを判断するときに、医学的には治癒しても、障害が残って通常通り働けない状態であれば治癒していないことになりますし、逆に持病があり医学的には治癒していないとしても、うまく病気と付き合って、会社の仕事は、これはこれで通常通りできるのであれば治癒したことになるのです。

ただし、従前の職務を完全にできない状態でも、職種が限定されていない場合は、別の職種の仕事ができるのであれば治癒したと考えられる場合もあります。

 

 

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