こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
ご紹介などで、当事務所としては新規の事業所様の就業規則に問題が無いか、チェックして欲しいと依頼されるケースがあります。
単純な問題として、労働基準法・高齢者雇用安定法・育児介護休業法などに違反する条文があればその旨お伝えできますが、そうでない問題もあります。
依頼される方はそこまで考えていないのが通常ですが、例えば、労働条件の切り下げを含む場合のアドバイスは難しいです。
強行法規違反の場合
例えば、労働基準法などの罰則を伴う強行法規の場合として、「うちの会社には年次有給休暇はない!」 と言ったところで、労働基準法に定める最低基準に満たない労働条件を含む労働契約は、その部分だけ無効となり、その空白部分には労働基準法の定める労働条件が収まります。 強行的・直律的効力と言います。
任意法規の場合
例えば、労働基準法などの強行法規に定めがないことについては次のようなことが考えられます。
「うちの会社には退職金はない!」 別に構いませんよね。 こういうことは、強行法規が最低限度の労働条件として強制してはいません。
初めから 「ない!」 と言い切って永く働いてくれるだろうか? 入社希望者は集まるだろうか?
これこそ経営判断です。
労働条件の不利益変更となる場合
ところが、就業規則のチェックを依頼された場合、大体が就業規則の変更に伴うときです。
とすると、強行法規違反としての部分と、それ以外の部分が混在しています。
「うちの会社には退職金はない!」 というのは構いませんが、元々あった退職金規程を廃止することとは問題の次元を異とします。
こうなると、強行法規違反かどうかの問題ではなく、労働契約の不利益変更の問題になります。
契約違反は単純ではない
就業規則に問題はないか? とお聞きになるのは簡単ですが、答える方は難しいのです。
上記のように、個別の紛争を含む可能性があることを 「問題ありません」 とは言えないからです。
ヒアリングなくして、就業規則は語れないのです
・元々の就業規則がどうであったのか?
・元々の労使の認識がどうであってのをどうしたいのか?
・何のために変更したいのか?
これらをヒアリングせずに、目の前の就業規則の問題点だけを聞かれてもお答えしようがないのです。
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