こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
先月、顧問先様が鶴岡労働基準監督署の調査を受けました。毎回何かしらの指摘があるのですが、今回珍しい指摘がありました。年次有給休暇の残日数を管理するよう言われたのです。それはそれで当たり前ではありますが。
年次有給休暇を与えていない訳ではありません。申請によりきちんと与えているし、労働基準法以上に与えているかも知りません。ただ、残日数を管理できていないのです。
私としてはこれを主張し、労働基準法違反ではないことを申しましたが、監督官は「退職者が残日数を消化する際に困るでしょう。」というのです。
確かにその通りです。確かに、近年退職する労働者は、当然のように残った年次有給休暇を完全消化する傾向があります。別の顧問先様ですが、このような退職者が初めて生じたということでショックを受けていらっしゃいました。その際、「近年当然の現象です。」と言う他ありませんでした。
ただ、年次有給休暇というものは、労働者の心身の疲労回復を目的とするものです。だから、本来労働日単位にしか認めて来なかったのです。時間単位ではその目的に沿わないからです。
労働者の労務提供のない日や時間に関して使用者に賃金支払い義務を課すものは他にありません。労働基準法には「ノーワーク・ノーペイ」という原則がありますが、それの唯一の例外が年次有給休暇です。
年次有給休暇を管理するには、結構知識が必要です。入社日ごとに各労働者別に発生日が異なる訳ですし、しかも初めは半年、その後は1年ごとですから。パートなどであれば比例付与となりもっと複雑です。時効が2年なので繰り越しもあり、正しい管理ができている中小の会社様はほぼないと思いますし、そもそも使い切ることを想定していない。だから紛争の火種になり易い。
監督官もそれを危惧する今日。昭和の時代の、何となく丸く成り立つ日本の労使関係は、もう維持できないというのでしょうか。