こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
出張から、休日である日曜日に帰ってきたので、休日労働だ!
出張は会社が命じたものなので、休日労働の割増賃金を支払え!
このように、会社に対して裁判を起こした人がいました。
要は、出張のための往復の時間が労働時間であるとの主張です。仮にそうだとすると、当然休日に労働したことになり休日出勤の手当てが必要となってきます。
果たして、そうなのでしょうか?
ところで、出張に伴う移動中に労災事故があった場合は業務災害となり、保険給付の対象になります。
なるほど、こう考えると、往復の時間も業務遂行性があり、労働時間と考えてもいいような気がします。
しかし、考えてみてください。皆さんは通勤”時間”に賃金を払っていますか?(通勤手当は違いますよ。)
定時で終業し、家に着いたら1時間経っていました。1時間分の残業代払ってください? そんな人いませんよね。
通勤時間も、会社が出勤を求めることから、時間を使って移動する訳です。でも、時間外労働ではありません。
そうなのです。これと同じで、出張の往復時間は労働時間ではないのです。ですから、時間外や休日の手当てなど必要ないのです。
これは、今日においてはほぼ確立された解釈です。
じゃあ、労働日である月曜日の移動も労働時間じゃないの?
そういうことではありません。労働時間とならないのは、所定労働時間の外で行われた移動です。
特別に時間外や休日に行われた場合に、時間外・休日出勤の手当てを支払う義務はないということなので、たとえば平日の出張の場合、移動時間分を賃金から控除をすることはできません。
会社に命じられて物品の運搬をしていますが?
それは、それ自体が業務であるから、時間外や休日に行われた場合、時間外・休日出勤の手当てが必要です。
移動中、電車の中でパソコンを開いて資料を作っていましたが?
会社がそのように指示していたり、上司が同行し、それを命じていれば労働時間となりそうですが、ただ単純に何か会社のためにしたからといって、労働時間とはならないでしょう。
労働時間の定義ってそもそも何なのか?
「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされています。
ですから、出張で移動中、パソコンで仕事をしていたとしても、時間外や休日出勤の手当てが必要な「労働時間」であるとは言い難いのです。