こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
このところ社会保険の扶養異動で四苦八苦していると言いましたが、これまた奇妙な誤解をしている人(会社)に出くわしてしまいました。
そんな誤解はなぜどこから生じるのでしょうか?
とある顧問先様からの電話・・・ 「従業員が奥さんを扶養にしたいって言って来てます。」
ここまではよくあること。
「では、奥様の年金手帳を預かってください。 あと、離職であれば離職票か基本手当の受給資格者証を預かっておいてください。」
後日この顧問先様より電話で・・・「離職ではないそうで、お勤めの会社は同じらしいのですが、勤務時間が短くなったのだそうです。」
このパターンは少々厄介です。
社会保険は任意保険ではない
しかも、その会社は、「扶養になった日付で喪失させるので、まず扶養になったら教えてください。」 などと意味不明なことを言っているらしいのです。
社会保険は好き勝手に扶養になるとか、任意で喪失できるとか、そんな制度ではありません。
法定事実に該当したら強制的に手続きをする義務が事業主に生じます。 その発言を基に推測できる発言者の感覚は全く間違いです。
社会保険の扶養判断の原則
まず、社会保険はこれまでの勤務時間や収入で、今後扶養になれるか否かを判断しません。
それらは扶養となるであろう今後の 「見込み」 で判断するのです。
ですから、扶養になれない期間の過去の所得証明や源泉徴収票を添付しても、今後の 「見込み」 は分かりません。
そんなときは、変更後の雇用契約書を添付したり、その奥様を雇用している事業主に、雇用契約の変更により扶養の要件を満たすことになったことを証明書に示してもらいます。
誤解会社の証明書はやっぱりおかしい
結局その会社に証明書を記載してもらいました。
その結果、とある区切りのいい日をもって雇用契約の変更があったと解すべき証明が記されてきました。
勤務時間OK ・ 収入OK
ところが、年金機構から私に電話がありました。
「個人情報なのでお伝えできないのですが、当該証明書の内容は事実と相違しているようです。」
しかし、当事務所としては法定要件を満たす証明書を添付しています。
それが事実と相違するとしても、証明書を交付した者の責めに帰すべき事由であり、これを添付した当方の責めに帰すことではありません。
これは日本年金機構も認め、記載通りの扶養認定がなされました。
そしてその結果、その奥様は年金記録が2号と3号とがダブることとなり、その会社が何かしら訂正などを求められることでしょう。
おかしな誤解をした証明書の交付者の責任です。
なにが言いたいかと申しますと、企業側に社会保険に関して誤解や知識不足が多過ぎて、事務員等取扱担当者の勝手な思い込みや経験だけで物事が処理されているのではないか? ということ。
法律として周知がまったく不十分ではないか?
私の印象でいうと、最近まではそのような勝手な判断を黙認してきたようにも思えてなりません。
旦那さんの扶養になるまでうちの保険証使っていいよ・・・?
こういう発言者をどうにかしませんか?