研修費用は誰が負担する?

2015年1月30日

こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。

 

少し前に、労働者の方から次の内容の相談がありました。

 

入社のときに会社負担で必要な資格を取りました。

この度、会社に 「辞める」と言ったら、そのときの費用を請求すると言われました。払わなければなりませんか? 

 

給与から差し引くってことか?

「請求? 退職金か何かで差し引くということではないのですか?」そう本人に聞いてみました。「給料は全額受け取りましたし、退職金はありませんから、差し引かれるものは何もありません。」

会社はどうやって回収するつもりだろう。

「じゃあ無視すれば?」と言いそうになりましたが、無料で電話相談を受ける以上、事例として聞いておきたいところ。

 

通常の研修の場合はどうか?

何の資格か分かりませんが公的なものであれば退職後も活用でき、会社が費用負担を求めるハードルは少し下がりそうです。今回はその回答を考える前に少し事例から離れて、まずは一般的に会社が行う研修費用について考えてみましょう。

 

研修の目的は、貢献してもらうこと

会社が人材育成の一環として行う研修に費用と時間を費やす目的は、その労働者の会社に対する貢献という見返りのためです。当然ですね。

しかし、実施の直後に退職されると、この目的が達成できません。そうすると会社としては、研修費用が無駄になるだけでなく、そのまま同業他社にでも転職されたら黙っていられません。

 

退職しないと誓約させる場合は?

そのため、会社によっては、今後、例えば「5年間は退職しない。」などとする誓約書を取ることもあるようです。しかしこれに関しては、労働基準法では次のように定めています。

 

第16条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償を予定する契約をしてはならない。

第17条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

 

このことから、そのような誓約書があっても、それによる金銭負担義務を退職の足止めにすることはできません。

しかも、強制的に賃金から差し引くとすれば、17条のほか24条の賃金全額払いにも違反します。

そしてそれ以前に、労働者は、憲法上の職業選択の自由、民法上の退職の自由がある訳だし、研修の受益者は専ら会社であるとすると、誓約書により労働者を拘束しようというのは無理な話です。

 

その資格とは一体・・・?

さて、電話相談の本題に入りますが、そもそも何の資格なのか? 気になります。

あまり踏み込みたくなかったので直接の質問はしていませんが、車の2種免許ではないかと思いました。なぜか? 次の発言からです。

「従来一定年数在籍すれば請求しないとしていたところ、数年前からは全員に請求することにしたそうだ。」とのこと。そうすると、相談者はタクシー運転手ではないか?

 

あなた、会社から借金していませんか?

タクシー会社の場合、2種免許取得費用を会社が一旦立て替えて、その返済を一定の乗務時間などを満たせば免除するということがあります。本人は「会社負担で」と言っていますが、会社はそう思っていないのかもしれません。

つまり、先ほどの研修とは事情が異なり、「雇用契約」と「金銭消費貸借契約」が別になっているという認識です。要するに、労働者の意思によって会社から免許取得のための借金をしているのだから、退職するしないの問題と関係なく、「借りた金は返せ!」ということではないかと思いました。

 

給与から天引きすればよかったのに?

今回のケースがこれに該当するかどうかは分かりませんが、もし該当ならば、会社は給与から控除する方法で回収してもよかった思います。

本当に自由意思による貸付であれば、労基17条の「労働することを条件とする前貸の債権」ではなく、しかもいつ退職しても請求するのなら、免除を期待する余地がないから、足止め効果も失っている訳ですから。

 

 

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