こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
特に若い人たちが多いのですが、最近は年次有給休暇を使い切って会社を辞めるのが半ば常識となってきているように感じます。
私もサラリーマンをやったことがあります。
年休の行使が出来ることは知っていましたが、退職自体が関係者に迷惑を掛けると思っていましたので退職後のお客様のこと、先輩後輩など人間関係や上司との付き合いにも気を掛け円満退職に努めたものでした。後任担当者への引き継ぎやあいさつ回りなどで年休消化なんかしている暇はありませんでした。
最近の若者はどう考えているのでしょうか?
時季指定権と時季変更権
年次有給休暇(以下「年休」という。)の取得は労働者の形成権であり、使用者への請求行為すら必要なく、労働者が年休取得の始期と終期を指定すれば効力を生ずるものと考えられています。当然に使用者の承諾や許可等を要しません。
そして、これに対して使用者はその指定された時季を変更することができるとされています。ただし、その権利行使は事業の正常な運営を妨げるときに限られます。高度な必要性がない限り裁判所は使用者の時季変更権行使を認めていません。労働者が指定する時季に年休が取れるよう努めるのは使用者の義務だとしています。
できても時季の変更だけ
使用者の権利として時季変更権行使ができたとしても、年休取得を取り消すとか認めないとかできる訳ではありません。
労働者が事前に退職日を決めて、それまでの全日数を年休の時季指定した場合は、使用者はそれを阻止する手段を持っていません。前にも後ろにも権利として変更できる時季がもうないからです。
そういう退職、悲しくないですか?
そもそも年休は疲労回復のための休暇と考えられ、そのために労基法は長い間、年休の取得単位を全日か半日に限定してきました。コマ切れでは疲れが癒えず仕事に身が入らないからです。
そして退職に関して、民法ですら事前の申し出期間を設けているのは、引き継ぎ等のため一定期間を要するからです。
労働者は勤務中は誠実に義務を履行しなければならないのは当然のこと、業務の引き継ぎや残務処理もこれに含んで期待されているのです。
明日から年休使って辞めるって・・・? これを年休だからと放棄する労働者が多いのなんの・・・
上司が勧めているとか、だれの迷惑にもならないことが明らかであれば別ですが、残務処理も引き継ぎも拒否、かつての上司や仲間に迷惑を掛けて職場を去るとすれば、それって悲しいことだと思います。