合意や同意よりも就業規則は強いのか?

2013年10月30日

こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。

 

ご存じのとおり、労働基準法は、使用者(経営者)に対して常時10人以上の労働者を使用する場合に、就業規則の作成や労働者代表の意見聴取、周知、労働基準監督署への届出義務を課しています。

このように、作成義務の対象となる使用者が就業規則の作成、周知、届出を怠っていた場合は、労働基準監督署による是正勧告を受けることになります。労働基準法は、使用者がこれに従わない場合には、これを犯罪として使用者に刑罰を科すことを最終的には予定しています。

 

◆就業規則で必要な記載事項や最低条件は労働基準法で決まっています

さて、就業規則で書くべき中身は、労働基準法によって決まっています。この要件を欠く就業規則は労働基準法違反として罰則の対象となり、不備がある部分は労働基準法の定める内容に強制的に書き換えられることになります。

 

◆就業規則は労働契約の内容になります

就業規則は一方で労使の約束事でもあります。普通は私人間でどのような契約をするかは、国の関与を受けることなく自由なはずです。当然、お互い同意すればその内容を変更できるはずです。

とすると、労働基準法に満たない部分はともかく、そうでないのであれば、個別の合意とか同意を優先すべきではないかと思える場面もあります。

たとえば、就業規則では勤続10年以上の人には月額3万円の勤続給を支給するとされていたとします。

ところが、会社の業績が急降下し、使用者は特定の人の給与からこれを停止して3万円を減額したいとします。なぜなら、その人は営業成績が芳しくなく他の従業員に比べて貢献度が低いからです。

 

次のような場合はどうなるでしょうか。

 

使用者: 『君は営業成績が回復するまで勤続給は停止する。』

労働者: 『今月は仕方ないですね、来月は挽回して見せます。そのときには元に戻してくれますね!!』

使用者: 『その意気だ!頑張ってくれれば元に戻す!』

就業規則を一時的であっても下回る訳ですが、労働者がこれに同意している場合です。これがもつれて争いになったとき、使用者は 『あのとき同意したではないか!!』 といえるかどうか? 

 

◆就業規則の内容を下回る同意は無効です

さて、法律の建前からいってこの場合、使用者は不利になります。

 

(就業規則違反の労働契約)

第十二条  就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

これは労働契約法の条文です。かつては労働基準法に置かれていました。

では、次のケースではどうなるでしょうか。

 

使用者: 『君は○月から関連会社に出向してもらう。』

労働者: 『出向があることなんて聞いていません。そんな命令従いませんから!』

使用者: 『就業規則に書いてあるでしょ。読んでないの?』

この場合、労働者は不利になります。合理的内容で作成され、職場に周知(本人が読んだかどうかは関係なし)している就業規則は労働契約の内容であるからです。

 

◆就業規則は結構やっかいです

このように、就業規則は刑罰の対象になる面と、契約の内容となる面とを併せ持つ、結構やっかいな性格をもっています。

就業規則は使用者が一方的に定めて良いとなっているのに、労働基準監督官に言われて厚労省のひな型をそのまま適用させてしまうと、中小企業では現実離れした契約内容になってしまったり、かといって、決めるべきルールをあいまいにしておくと労基法違反を問われ、また解雇や異動などの人事の自由度が制限されることもあります。

さらに、就業規則の基準を上回る個別同意は有効とされていますが、実態が個別同意だらけでは、その就業規則自体の効力があるのかないのか、そもそも何のための規則か訳が分からなくなります。

トラブル発生時には、法的な形式の不備と、その他の労使問題とが混在して、論点や根拠がうやむやなまま、後付けの主張しかできないことで不利になるのは、労働者でなく使用者でしょう。

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