酒田市の社会保険労務士 在職老齢年金、高年齢雇用継続給付を利用した定年再雇用者の最適賃金


再雇用者最適賃金設定に当たり留意する点

最適賃金の計算に関わってくるのは次の金額です。
1) 60歳到達時賃金(定年直前6ヶ月の賃金額)
2) 定年直前1年間の賞与額
3) 本人の60歳からの年金額
4) 定年再雇用後の標準報酬月額(目安)
5) 定年再雇用後の標準賞与額(目安)

これらの情報があれば最適賃金が計算できます。
1)から留意点を見ていきます。


1)60歳到達時賃金(定年直前6ヶ月の賃金額)
まず、雇用保険に5年以上加入していないとそもそも60歳到達時賃金の登録ができません。また、ハローワークに登録できる60歳到達時賃金には上限があります。現在は約45万円です。
これを超える賃金額であっても高年齢雇用継続給付の計算の基礎としては45万円が基準になります。仮に60歳到達時賃金が60万円の人と、50万円の人がいるとします。この場合、2人とも45万円が上限となりますので、本人の年金額などの他の条件が同じだったとすれば最適賃金が同じ額となり、それまでの業績によって再雇用後の賃金に差を設けることができません。
なお、兼務役員になっており、賃金のほかに役員報酬が支給されている場合は賃金の部分のみが対象となります。
しかし、これほど高額な賃金であれば、年金は全額支給停止となると思いますし、あまり現実的ではないので、一般的に中小企業の場合は心配しなくても大丈夫かと思います。


2)定年直前1年間の賞与額
これは年金の支給額に関して大いに関係してきます。
60歳から支給される年金は60歳である今現在の標準報酬月額に、前年一年間の賞与を合計し12ヶ月で割った額を足します。
それに1ヶ月あたりの年金月額を足して、28万円を越える部分を1/2した額が支給停止になる仕組みであることから、できれば前年の賞与が無しの場合が望ましいのです。
仮に59歳時に2回、6月と12月にそれぞれ50万円の賞与があった場合、標準報酬月額が変わらなかったとしても、『60歳になった年の6月までの分の年金』は最も支給が少なく(前年の賞与合計100万円が報酬に乗っかってくるため)、『12月までの分の年金』も少し支給額が少なくなります(前年の賞与のうち12月の50万円が報酬に乗っかってくるため)。
前一年間に賞与の支払実績のなくなる翌年の1月の分の年金からが本来の年金となります。
このため、理想をいえば、59歳になったら賞与は支給せず、毎月の賃金に乗せることによって60歳到達時賃金をより高く稼いだ方が有利といえます。


3)本人の60歳からの年金額
これは本人に社会保険事務所に行って聞いて来てもらえばいいでしょう。
より確実なのは本人の委任状をもらって社会保険労務士等の専門家に確認してもらうのが間違いないでしょう。
多くの場合は月に10万円前後になると思います。


4)定年再雇用後の標準報酬月額(目安)
まず、当然のことながら手取り額を大きく下げないことが重要です。
手取はあまり変わらなくても再雇用で賃金が下がるということなので、退職したときはあまり年金は増えない旨伝えておくといいでしょう。
標準報酬月額等級表によると20万円から38万円の範囲では2万円刻みになっています。例えば、前年の賞与が無かったと仮定し、賃金が269,000円の場合、標準報酬月額は26万円の等級です。あと1,000円賃金を上げると標準報酬月額が28万円の等級ゾーンに入ってしまい、2万円も等級アップしてしまい、年金はその半分、1万円下がってしまうのです。
逆に1,000円賃金を下げると1万円年金が増えるという逆ザヤ現象も起こるので十分注意しましょう。
また、一旦決めた標準報酬月額はなるべく動かさないことが望ましいです。
ここで動かしてしまうと年金が増減してしまい、逆ザヤ現象が起こることがあります。


5)定年再雇用後の標準賞与額(目安)
前項で述べたように再雇用者の標準報酬月額はできるだけ動かさないことが望まれます。現行制度では前年の賞与も標準報酬月額に乗っかってきますので賞与の額も定額にしてください。
最適賃金を計算する際に予めこれを含めて計算しないと結果が全く違ったことになり兼ねません。


以上のことから最も理想的なのは
1) 60歳到達時賃金(定年直前6ヶ月の賃金額)に比べ、40%以上の減額
2) 定年直前1年間の賞与は無し
4) 定年再雇用後の賞与は無し、または定額
5) 賃金は標準報酬月額等級の境目直前の額

ということがいえます。

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