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強い会社はキッチリやっている

先に解雇のトラブルをご紹介しましたが、労働基準監督署が許しておかない労働基準法上最も重要な違反は解雇よりも「サービス残業」です。実は労働基準監督署としては解雇自体にほとんど介入しません。むしろ、そこに至るまでの手続ともいえるプロセスを重視します。つまり労働基準法は手続法なのです。

労働基準監督署は労働基準法を遵守させることが仕事であり、「解雇」自体の有効か無効かという問題は労働基準法上の問題ではなく民事上の問題との考えられており、この場合は労働基準監督署ではなく「総合労働相談センター」という機関が担当します。しかし、この機関には労働基準監督署とは違い法的強制力がありません。ですから、万一「不当解雇だ!」と会社が訴えられたとしても、労働基準法上の手続や必要な事務を行っていれば、労働基準監督署の監督官は何も言えないのです。
一方、労働基準法にも解雇に関して次のような条文があります。

労働基準法第18条の2「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

いかにも回りくどい言い方をしているのは、「ケースバイケースだから、白黒の判断は裁判所がします」と言いたいからです。したがって、実務的な労働基準監督署対策は、サービス残業させない労務管理となります。これには業務改善や効率化など問題が山積でしょうが、手っ取り早く就業規則で、同じ労働時間を合法的に非残業時間化する方法を3つのポイントでご紹介します。

残業代の計算方法は以下のとおり法律で決まっています。
残業代=   Point1基準内給与
×1.25 ×Point3残業時間
Point2月平均所定労働時間
この計算式に対し、分母、分子、それから残業時間数そのものについて対策を考えてみます。

就業規則作成のポイント1 職務手当や役職手当には残業手当が含まれる旨、就業規則に明記する
これは最も重要です。基準内給与とは、残業代の計算基礎に入る手当のことです。営業手当などの職務手当(営業手当など)や役職手当などは、当然基準内給与です。ところが、これに残業代を含ませていることがほとんどなため、基準内なのか、基準外なのかがあやふやになっている会社が多いものです。あやふやな場合、原則どおり基準内とみなされます。こうなると、残業代と思っていた手当そのものにさらに残業代が計算されてしまいます。このため、実際の残業相当○○時間分を固定で支給していると就業規則において明らかにするのです。ただし、職務手当等が実際の残業時間相当分の残業代に足りないことが多く、そのために基本給を減額するときは総額を少し増やすなどしたうえで同意を得てください。
また、トラブルを予防する意味では、給与袋にもカッコ書きで(○○時間分の残業手当を含む)などと明記しておくと従業員の家族からの反発も避けられます。
就業規則作成のポイント2 所定労働時間をぴったり法定労働時間と合わせる
法定労働時間は1日8時間、1週40時間と決められています。
ですから計算すると1か月では173時間、1年変形の場合は1年では2,085時間となります。万一、これに満たない所定労働時間でサービス残業があるなら、ぜひこれに合わせてください。また、このことにより分母が増加するので残業代の単価が安く済みます。
就業規則作成のポイント3 1か月もしくは1年単位の変形労働時間制を採用する
1月単位のシフト表などを使うのであれば1か月単位、季節的な繁閑により休日を決めるのであれば1年単位の変形労働時間制を採用します。
これにより1日8時間、1週40時間の小さな枠が外れ、1か月単位、1年単位の大きな枠で労働時間の管理が可能となります。ただし、1年単位の場合は労働基準監督署に労使協定の届出が義務付けられていたり、細かな決まりがあるのでよく確認してください。
なお、これらをクリアするためには就業規則のほか、36協定(月に45時間以上の残業がある場合などは『特別条項付き36協定』)やその他必要な労使協定も労働基準監督署に提出しなければなりません。
また、採用の際には雇用契約書を交わす、懲戒などの処分を行う際には必ず「始末書」をとるなど書面で会社の行った手続の証拠を取っておきましょう。ここまでできればおおむね労使トラブルや労基署は恐くはないはずです。
なお、特別条項付き時間外労働協定(36協定)を労働基準監督署に提出している会社で労働時間の適正化を行う会社に対して国からの中小企業労働時間適正化促進助成金が用意されています。

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