こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
稀にですが、「従業員に退職金を支給しているとパートにも支給しないといけないのですよね。」と聞かれることがあります。何でそんなこと聞くのかな? と思い「なぜそう思うのですか?」とさらに聞くと、どこかの社長さんが言っていたとか、そんなことを言うのです。
えー?じゃ、その社長さんはどこで聞いたのだろう。そもそも正規従業員にも退職金規程がない会社も多いです。どこからそんな話が生じて来たのか考えてみました。
おそらくですが、正規従業員の就業規則しかない会社にパートさんがいて、その就業規則をパートさんが見て、自分にも退職金があると思っていたが無かった。なぜ無いのか調べたが、規程に根拠がなかった。就業規則の本則にも「パートタイマー」の定義がないし、あっても「パートタイマーに関しては別に定める」とか書いてあって、そのパートタイマーの「別の定め」が存在しない。
確かに、雇用契約書には「退職金は無い」と書いてあるが、就業規則違反の労働契約は就業規則で定める基準によるとする労働契約法12条によって、その部分は正規従業員の就業規則の内容がパートにも適用されるとして、退職金の有無を争ったことがあるらしいです。このケースが拡大して独り歩きしているのではないかな?
労働契約法第12条は、以前は労働基準法第93条だったかな、いずれにしても昔からあるものです。しかも、労働基準法第89条では、就業規則はパートも含めて全従業員に適用されるものではいけないので、この話の基になったであろう事案のように就業規則のうっかりは高く付きます。
しかも、今後は法改正により正規、非正規の均等・均衡待遇がより求められますので、こんなケースは急増するでしょう。増してや有期労働者の5年ルールも加わって、かつてのパート労働者的扱いは危険が生じます。
その辺があいまいになっている会社は多いです。これを機に就業規則の見直しをされることをお勧めします。その際は、先ほどのような思い込みをしないために専門家にご相談ください。