こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
賞与の最低支給額を就業規則で定めている会社がありました。
「正社員には賞与として、毎年〇月と〇月に支払う。支給額は会社の業績及び従業員の勤務成績等を勘案して各人ごとに決定する。ただし、〇万円を下回ることはない。」
最低でも従業員各自に〇万円は支払いたいとする気持ちは分かりますが、これ、私からするとその気持ちとは別の問題がある規定だと思います。
一般的に、賞与の支給の有無及び支給額は、個別の労使に委ねられているからこそ賞与として認められるからです。
まず、契約上支給額が予め決定している額は、労基法の賞与ではありません。だから、その月の時間外労働等の計算基礎から除外できません。そもそも、月例給与も賞与も労働の対償の賃金ですから性質は同じです。
このことから、支給月に時間外労働があった場合の計算ミスがあり得ます。
次に、減額ができなくる可能性があること。
たとえば、その最低額が基本給の〇か月分とするなんて規定があったら、その額は勤務成績を勘案する前に決定しているものと考えます。だから、そのように決定している額は、勘案による減額はできないということです。
それどころか、雇用契約書でズバリ〇か月分とするなんて書いてあったりする例もあります。そんなこと書いたら、支給日到達のみをもって労働者に即時その満額の請求権発生になります。
解雇された労働者が解雇無効を求めて、それが認められたときは、請求してきた支払額にそのような賞与も含まれていたら、規定に定める「勘案できない」額は請求権が認められるでしょう。
そういうことを想定すると、就業規則はシンプルイズベストだとやっぱり思いますね。
厚生労働省のモデル規程も公開されていますが、中小企業の各社ではなく、あくまで厚生労働省が求めるモデルなので、各条文や解説はよく読んで取り入れた方が良いですよ。