こんにちは!酒田の社会保険労務士、村西です。
先日、新規のお客様からお問い合わせを頂きました。
50人くらいの規模で運送業をされているとのことでしたが、現在特に困っていることはなく、将来の法改正についていけるか不安があるとのことでした。
建設業と同様に運送業の「ドライバーさん」は、現在36協定の上限規制が猶予されていますが、あと数年でこれが廃止されることが決まっており、その後は一般の企業と同じく罰則付きで時間外労働の上限が適用されます。
当事務所にも長距離運送の顧問先様があり、デジタコの記録を見せてもらいますが、一般企業の顧問先様と比べて、法定労働時間を超える労働と評価される時間は特段に多いです。しかも、ほぼオール歩合なので、毎月チェックしていないと1時間当たりの賃金が最低賃金から外れてしまう恐れもあります。手待ち時間は休憩ではありませんから。大手は二人乗車などの措置を講じることができますが、中小でそれは難しいと聞きます。
法改正の不安って、そのようなことかと聞いたのですが、そこまで具体的ではないようです。
労働保険や社会保険の事務手続きは自社でできているといいます。おそらく私から見れば多くの問題点が見つかると思いますが。
過去には社会保険労務士と契約していたともいいます。それでは、なぜその先生と解約したのかと聞けば、そのときはそれができると思ったそうです。つまり自社ですべて完結できると。
ところが、今般の「働き方改革」です。あらゆる労働絡みの法律が次々と改正されて、それについていくには専門家がいないともう無理!というところのようです。色々と社内制度や規程を変えていくことが求められていく中、その根拠が従業員に説明できなくなってきたということだろうと思います。
それで、新たに専門家を探しているそうで、私にたどり着いてくださるのは嬉しいです。
でも、私としては別の視点で、特定の経営者にそのような不安を与えている国の政策って問題なんではないかと思います。
建設や運送業というのは特に小規模事業者が多くて、発注者や荷主に追従するしかない場合が多く、いわゆる多重下請けのような構造と聞きます。だから、現在進行である「働き方改革」ってそのような中小企業にとって不安でしかないのだと思います。
中小企業庁のHPも見ましたが、大手企業がこれに対応するためのしわ寄せが下請けに来るなんて、ない訳ないと思います。とすれば中小企業としては歓迎するべき政策なのだろうか。
話を戻して、こんなこという私と契約してくれるのだろうか。