こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
来年4月1日からいよいよ中小企業にもパート有期雇用労働法がスタートします。
この法律は、主に正規雇用と非正規雇用の労働者の待遇の相違に関して、それが不合理であったり、差別的な扱いがあってはならないとする趣旨のものです。
職務の内容や配置の変更の範囲等が、正規雇用と同視すべきような非正規雇用の労働者が社内にいた場合、正規雇用とこれらに関して何が違うから待遇が違うのかを具体的に説明できなければならなくなります。
極端な話、ご近所さん同士の2人が同じ場所に通勤しているのに、正規雇用には通勤手当があって、非正規にはそれがないのはなぜか? という説明を求められたとき、事業主はこれを具体的に説明する義務を負うのです。
説明するには、その通勤手当が何の目的で支給されているのかを明らかにしなければなりません。通常は、労働者の通勤に係る費用の補填とか、実費弁償とかでしょう。
そうすると、ご近所さん同士の2人は、片や正規雇用、片や非正規雇用であっても、通勤に係る費用は同じです。その目的なのであれば、非正規雇用にだけ支給しない理由がありません。
とすると、支給しない理由は単に「非正規雇用だから」ということになり、これは不合理であって差別的扱いになるから、法違反となる訳です。
もともと「パートタイム労働法」と呼ばれていた法律が名前を変えて「パート有期雇用労働法」になった訳ですが、「パート」よりも「有期雇用」の方が問題になってきそうです。
「契約社員」と呼び、正規雇用と同じ職務をさせて、有期雇用だからといって賃金だけを時給にしているとか安くしている会社は結構あると思います。しかも、そもそも小規模なので正規雇用さえも異動がなく、そのため配置の変更の範囲も同じ。こんな場合が最も危険です。
パートさんは短時間なのでそれなりに正規雇用との違いを納得していると思いますが、フルタイムの契約社員の彼らは自分がパート同様だとは思っていないケースが予想されます。中途採用で40代くらいの就職氷河期の人とか。
非正規雇用のうち「有期雇用」の方も、もともと労働契約法20条に同様の規定はありましたが、同一労働同一賃金の時代になり、一層この問題は無視できなくなりますよ。従来の感覚でいう、いわゆる「契約社員」というのは廃止した方が良いですね。