こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
珍しく年金に関するご相談をいただきました。
厚生年金保険法では、一定の被保険者期間によって老後に加算される手当みたいなものがあるのですが、これに関係して、法人の非常勤役員の方は、厚生年金の被保険者になるかどうかという内容でした。
これはケースバイケースですね。役員報酬が労務提供の対償といえるかどうかなど、実質的に「使用されている」と評価できるかどうか。労働者ではないので労働時間とかがないんですよね。
その辺をお聞きしながらの説明となったのですが、実際の年金事務所による調査では、役員であれば非常勤とか常勤とか名称に関わらず、本当の意味での「名ばかり役員」でない限り、加入させろになるでしょうね。名ばかり役員とは、例えば労務提供がないのに報酬だけあるといったような場合です。
だから、基本は報酬支払いがあれば加入させろで、除外するならそれなりの理由が必要というのが実務とも思うところです。たぶん、取得届を出さないことを指摘されても、出したものを拒否されることはないでしょう。
それはそうと、これで思い出したことがありました。
かなり前の話ですが、同じように非常勤役員の方の話で、厚生年金の被保険者になっていたケースです。この方は役員になる前の若いころに国民年金の保険料をずっと滞納してきたらしいのです。そのため、このまま70歳まで保険料を納めても受給資格期間を満たすことができない状態でした。
つまり今後法改正などない限り、自身は無年金になるということです。
私はこれを知って、過去も現在もその方は、法人に「使用されている」状態なのか聞くと、報酬はあっても労務提供はない状態であったことが確認できました。経営者の妻という「名ばかり役員」だったのです。
そういえば、当時は商工会議所様から依頼を受けた相談内容にもこの種のものが多かった。
実態が被保険者に該当しないのだから資格喪失しないといけません。では、いつをもって喪失させるか。これはできるだけ被保険者要件不該当という事実発生時点まで遡ってできればいいのですが、時効より前に遡及はできません。
あのとき何度も鶴岡年金事務所に足を運んだ気がしますが、結果的に既払いの保険料が会社に何百万と還付されたと記憶しています。