こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
先日、知り合いの税理士の先生から電話があり、給与計算オンリーの受託はできないか聞かれました。そのような定型業務であれば社会保険労務士でなくてもできることから、一般の請負業者も行っていると聞いています。ただ、私の事務所はやっていません。
その会社様は将来的には担当者を育てて、自社で行えるようにしたいそうです。そうすると、今から外注してしまうと実務の仕組みが分からず担当者が育たないことが考えられます。そのため、私は単なる外注は経営者様の意図するところではないと思いました。
そして、「給与計算オンリー」とはどういう意味なのか考えました。
私は、定型業務としての給与計算は積極的に受託したいと考えていません。各従業員や役員の賃金や報酬を担当者には秘匿しておきたい場合を除けば、自社で行うべきと考えています。
結局のところ、社会保険労務士としては、賃金のデータが欲しい訳で、給与計算という業務は手段でしかありません。給与計算で得られたデータを基に社会保険料などの変更や決定手続きをし、その手続きに基づき給与計算に反映します。これはサイクルです。
給与計算を受託しない顧問先様からは毎月データを送って頂き、それに基づき手続きが必要か否か、必要とすれば何の手続きが必要なのか判断しています。また労働基準法や就業規則、労使協定などに違反していないか、違反していれば何をどうすれば改善するのかを考え、伝えます。
そのような内容を含まない「給与計算オンリー」の関係は成立しません。その判断をあちらにお任せする逆の関係は意味がないのです。
健康保険・厚生年金保険料の決定通知書、住民税の税額表などに関与しないことはあり得ないので、個人情報を扱わざるを得なくなり、そうなると管理が必要となり、すなわちそれが顧問契約なのです。
単発で個々に発生する手続き業務のみを代行する社会保険労務士が昔はいたそうですが、マイナンバーが存在する現在、多分もう無理です。中途半端な関係では責任とれません。同じく給与データの管理は不可欠ですが、それオンリーといっても個人情報が必要な場合は通常の顧問契約と同様の費用はご負担頂く必要があります。