こんにちは! 酒田の社会保険労務士 村西です。
会社としては労基法上の管理監督者として認識していた者が退職後に、自分は管理監督者に該当していないから、過去の残業代を払えといってくることがあります。
このようなことを経験した会社としては、それ以降は社内の管理監督者にはタイムカードを押させないという措置を講じたところ、昨年改正された労働安全衛生法により、別の意味で、事業者は管理監督者を含む労働者の労働時間の状況を把握する義務を負いました。
そうすると、タイムカードによる時間管理が管理監督者とされる者にも及び行われており、この場合、管理監督者の該当性が疑われるのでは? と心配する旨のご相談がありました。タイムカード押しているから一般従業員と同じではないかとお考えのようです。
そうですかね? 私としては、それはちょっと違うと思います。
そもそも、管理監督者といえども労働者なのですから、過労死も自己責任という訳に行きませんよね。健康管理のためにもタイムカードは労働時間の記録として必要です。
今回の労働安全衛生法改正の趣旨は、長時間労働に起因する健康被害を防止することから、医師による面談指導が必要かどうかを判断するためであって、その状況を「把握」することが目的です。
労基法上の管理監督者には、労働時間、休憩、休日に関する規定が除外されるから、その該当要件の一つに労働時間「管理」を受けていないこととあります。
そうすると、労働時間の状況を「把握」することと、「管理」することが同じ意味かどうか。
もちろん、実態が労基法41条2号の管理監督者に該当するかどうかは、今回のケースで個別には分かりませんが、少なくとも、タイムカードがあるという一事をもって管理監督者ではないということにはならないでしょう。
逆に、この記録により、確かに自由裁量による働き方になっていると判断されれば、管理監督者の該当性は肯定される方向ではないでしょうか。